一般社団法人栗山青年会議所
2022年度 理事長所信
一致団結
~共に歩もう愛の溢れる地域のために~
2022年度LOMスローガン
第54代 理事長 記虎 大樹
【はじめに】
青年はなぜ青年会議所の門を叩くのか。青年会議所においては、入会時の考えは人それぞれです。例えば、共に語り合える仲間が欲しい、ビジネスでの人脈を作りたい、活動を通じて成長したいなど、それぞれ想い想いの気持ちを持って入会しています。私自身も2017年、熱心な先輩から栗山青年会議所に入会を勧められ、沢山の人と出会いや活動を通じて成長したいと思ったことが、入会のきっかけでした。入会当初、右も左もわからなかった私は、まずはとにかく参加することで学ぼうと考えて、事業や例会、委員会が実施する室会議などに参加するようにしました。入会前の私は、自己流で会議や物事を進めていたのですが、入会してからは、討議・協議・審議という流れや各種議案など、ロバート議事法による議事の進め方があることを知り、少しずつ学んでいくことで成長を実感することができました。しかし、地域への想いがすぐに芽生えたかというと、そうではありませんでした。そんなある日、私も事業発案の段階から委員長と共に事業構築を進めていた事業が実施されました。無事終了した後の例会の挨拶で、普段は陽気な委員長が涙を流しながら「地域のためにこの事業ができて良かった」と言っていたのを今でも覚えています。私もそのときに思わず熱い気持ちになり、自分の中に地域に対する愛情が芽生え始めていたことに気が付きました。
青年会議所は事業実施までに仲間と共に数多くの議論を交わし理事会で何度も悔しい想いをして、それでも最終的にメンバーを納得させ審議通過まで漕ぎつけて、地域の課題解決のための運動へとつながる訳ですが、その過程の中で、最初は個人的な考えや利己的な理由でJCに入会したメンバーも次第に、地域の未来を想い地域を心から愛する、メンバーと一致団結して活動するJAYCEEとなるのです。2019年海外から第1例目の感染者が報告されてから、新型コロナウイルス感染症の勢いは止まることなく、この地域にも猛威を振るっています。今まで当たり前のように開催されていた地域のお祭り行事やイベントなども中止を余儀なくされています。栗山青年会議所においても、実施予定だった事業が中止の決断、あるいは、事業内容の変更を迫られるなど、その影響は少なくありません。しかし、このような状況下においても、私たち青年会議所は歩みを止めることなく、未来を切り開く組織として一致団結し活動しなければいけないのです。青年会議所が多くの地域住民・団体を巻き込むことで組織力を拡大し、現在直面している地域の課題を解決することで、この地域を希望の光で照らし、愛の溢れる地域を創造しましょう。
【会員拡大】
昭和41年、地域を想う青年らの手によって産声を上げた栗山青年会議所は、いつの時代も地域を想う青年が集い多種多様な価値観や考え方をもつメンバーが交わることで、地域の課題を解決すべく運動を展開してきました。そのような中で、栗山青年会議所におけるメンバー数は減少の一途を辿っています。この地域には少子高齢化、地域の産業の衰退など、数多くの課題を内包していますが、それら多くの課題を解決していくには、個々の力だけではどうしようもありません。地域の若い力が結集し、一枚岩となることで、地域をより良い方向へ動かすことができるのです。そのためにも、栗山青年会議所メンバーの有する南々そらち4町のネットワークを最大限に駆使して、各地域団体とのコミュニケーションを活発に行い、関係性をより強固なものにして、青年会議所の活動に対して共感・賛同してもらうことで、一人でも多くの若い力を、共に歩むメンバーの一員として入会へと導かなければいけないのです。また、JCはまちづくり団体であり、ひとづくり団体でもあります。地域を想うメンバーが集い地域のために活動するなかで、周りの人々の意識も変えていくことが求められます。意識が変わることでより良い人材へと成長し、成長した成果を、運動を通じて地域の若い人材へ波及させていくことが、会員拡大に繋がっていくのです。人口減少という大局的な時流に流されるだけでは会員拡大は望めません。メンバー全員が1年を通して積極的・持続的に奮闘する会員拡大運動こそが、地域の課題解決ひいては明るい豊かな社会の実現には必要不可欠なのです。メンバーが4町を結ぶ大きな架け橋となり、地域の発展にとって必要な強固なネットワークを構築し、地域のために主体的に行動することで変革を起こす組織体制を確立すべく、20名体制を達成します。
【会員資質向上】
青年会議所には個人の修練・社会への奉仕・世界との友情という三つの信条があります。それはメンバー同士が切磋琢磨することで修練を行い、それらによって培われた力を事業を通じて社会へ奉仕し、広く友情の輪を広げるというものです。栗山青年会議所の先輩諸氏もその信条のもとで、日夜顔を突き合わせて綿密なコミュニケーションを取り合い、ときには喧々諤々と熱い議論を交わしながら青年会議所運動を続けてきました。私が入会した当初は、同時期に入会したメンバーも多く、会議で夜な夜な議論を交わしてから夜の街に繰り出して、またそこでも熱い議論を交わす日々を送っていました。しかし、新型コロナウイルス感染症の蔓延により、感染対策の一環として諸会議はWEBを中心に開催され、メンバー同士が対面で議論をする場が例年に比べて減少し、また円滑に物事を進める一助となっていた、お互いの心情を深く知るような機会も無くなりました。そのような状況下で、メンバーの役割認識の欠如や責任意識の低下などを招いており、メンバーの目的意識が一つの方向に向かわず、一人ひとりの動きが散漫としてしまいます。これらを三信条に照らし合わせると、メンバーが喧々諤々と修練できる環境が無くなり、事業を通じた社会奉仕が実践できず、友情を育む機会も失われている危機的な状況と言えます。これらの状況を脱するためにも、入会年数の浅いメンバーは勿論のこと、全てのメンバーが今一度、自身の行動が地域を変えていくという主体者意識を持ち、自己犠牲を惜しまず地域に尽力するという「忘己利他」の精神を醸成していくことが必要です。メンバーが手を携え切磋琢磨し、真摯に地域の課題と向き合うことが自己の成長と組織力の向上につながり、より良い地域を創ることができるのです。メンバー一人ひとりが役割を認識し、共通の目的を共有し、一致団結することで、より良い地域を創る基盤を作りましょう。
【地区大会南空知いわみざわ大会】
第71回北海道地区大会南空知いわみざわ大会は、私たちが住まう南そらち地域にて開催されます。この地域での開催は、2003年に開催された、第52回北海道地区大会岩見沢大会以来の、実に19年ぶりとなる悲願の開催となります。2022年度の地区大会は、例年のような単一の行政区ではなく、より広域地域の括りでの開催となりました。JCI岩見沢はJCI栗山・美唄・夕張のスポンサーJCとして50年以上の歳月を互いに協力し合い絆を深めてきました。これまで築き上げてきた4JCの絆を最大限に活用して広域連携を図り、LOMメンバー数や都市規模が大きくはない青年会議所であっても地区大会を開催できるという成功実績を創ることが、今後の北海道地区大会の在り方として北海道全体に波及できると考えます。そして、南々そらち地域をPRする絶好の機会でもあります。地区大会を成功に導くためには、我々も、共に地区大会を創り上げていくのだという気概を持ち、全力で地区大会を盛り上げていく必要があります。日頃からの4JCの絆が十分に発揮されなければ、南空知いわみざわ大会を成功へ導くことはできません。より一層4JC間での連携を図り、主管LOMのJCI岩見沢とともに事業推進していくことで、盛大に地区大会南空知いわみざわ大会を開催しましょう。
【スポーツによる健全育成】
新型コロナウイルス感染症の影響により、これまで可能としてきた子ども達にとっての多くの体験や学びの機会が失われるとともに、子ども同士の交流や近所付き合いが減少したことで、地域コミュニティの衰退が加速しています。子ども達にとって、規範意識・主体性・協調性など人格形成の基礎が確立される大切な時期に、必要な活動が自粛されることで、子ども達の健全育成が阻害される状況になりつつあります。また、外出自粛による運動や課外活動の中止、授業のオンライン化に伴い、身体を動かす機会が激減したことにより、子ども達の運動能力や体力の低下が問題となっています。このような状況下で、従来のようにスポーツをすることが難しいなかでも、感染環境に最大限考慮し、オフライン・オンラインを問わずに子ども達がスポーツを通じた成長ができるように、ニューノーマルな形でのスポーツ体験を提示しなければいけません。今後も、子ども達の取り巻く環境は刻々と変化していくことが予測されます。ニューノーマルな体験を通じて、新たな価値観を作っていくことが、健全な育成を守る上で必要になっていくのです。また、他団体との協力するなかでのスポーツ振興も推進しており、栗山青年会議所も会員として運動を進めている栗山高校女子硬式野球部設立準備委員会では幾度の協議を重ねて、ついに、2022年4月に北海道立栗山高等学校に女子硬式野球同好会が設立される見通しとなりました。このことは、北広島市の北海道ボールパークの開業が迫るなかで、スポーツに関連した特色ある地域としての一つの目玉になったと考えます。しかし、野球部が設立して終わるわけではありません。継続して部員が入部し、部活動を通じた活躍があってこそ地域の魅力として花を咲かせます。そして、栗山町を皮切りに、南々そらち全体に女子硬式野球を波及し、地域の特色として女子硬式野球を定着させる必要があります。地域一体となってスポーツで特色ある地域づくりを推進し、地域と深く関わり、密接な関係性を築く子ども達が増えることで、地域を愛し地域に愛される人材を創出しましょう。
【夕張川への想い】
石炭産業の発展や農業排水・都市排水の流入などによる水質汚染により、長くサケが姿を消した夕張川に、再びサケを還すことを目的として2008年から始まった夕張川関連事業は、2015年栗沢頭首工に魚道「サーモンロード」が設立、また、2020年に栗山町中央橋上流に産卵床が整備されたことで、ついには、サケ・マスなどの産卵場所として利用されるに至りました。しかし、近年の異常気象による降雨量が極端に減少する事態により、栗山ダムからの放水量が制限されることで、河川の水位が極端に減少し、栗沢頭首工の魚道「サーモンロード」を遡上したサケが利用することができない事態など、新たな課題も発生しています。サケが夕張川まで安定的に遡上するためには、河川事務所や地域団体など関係各所との連携を密に図る必要があります。関係各所との連携を通じて、河川の状況に応じたレスポンシブな対応を行っていくことがサケの安定的な遡上の鍵となります。また、SNSなどによるサケの状況発信を通じて、地域内外の方々に持続的に夕張川を発信し、「サケの還る夕張川」をこの地域の特色としてPRすることで、サケを通じた地域内外の交流が活発化し、地域活性化のための素地を創ることできると考えます。近い将来、夢の生態サイクルが実現して市民権を得たサケは、この地域にとってかけがえのない存在となり、地域に希望をもたらすでしょう。流域住民の関心を手繰り寄せ、サケの還る場所として流域住民のみならず地域外の人々も訪れ賑わいを見せる地域のシンボルとなる夕張川を創造しましょう。
【地域の価値】
この地域には肥沃な大地から生まれる農産物や、それらを使った加工品など、数を多くの価値が存在します。また、それらモノの価値のみならず、そこに住まう人々が守り続けてきた伝統や芸能文化など、ヒトにまつわる多くの価値もこの地域には存在します。それらを発信する事業として、前身の「くりやまマルシェ」を経て、2016年から「ふるさと田舎まつり」が、多くの地域団体や出店店舗の協力によって開催されています。しかし、コロナ禍においてそれまでは当たり前のように開催されていた、地域内外から多くの人々が集まり会場にて飲食を共にするような形式での開催は難しい状況であると言わざるを得ません。そのような状況下で、2020年・2021年には栗山青年会議所もガイドライン策定に携わった「栗山町イベント共通ガイドライン」に則った形式でのイベント開催を行ってきました。今まで実施できていたことが困難になったので中止するのではなく、この状況を好機と捉えることで、今やれることは何かを考え環境に適応し、どのような状況下においても地域の魅力を絶えず発信していくことが、地域内外に地域の価値を認識してもらうことに必要だと考えます。また、栗山青年会議所では、クラフトビール「RAITERAS」や、栗山商工会議所青年部と共に「くりやまカレージンギスカン」など、地域のつながりを活用して新たな地域ブランドを創出してきました。それらを地域内外へ広く周知するためにも、これまで作り上げてきた既存の地域ブランドを見つめ直し、持続的な発信を行うことが必要です。また、モノを創ることや地域の文化を紡いでいくのはヒトであり、ヒト・モノが両輪となって地域を盛り上げる推進役となります。どのような状況下においても持続的な形を模索し、地域の価値を広く周知することで、愛の溢れる地域を創造しましょう。
【結びに】
異なる地域、異なる業種、異なる価値観のメンバーが集まる栗山青年会議所は、お互いの考え方を尊重し、メンバー人ひとりが得意とする分野や技能を生かしながら、目的意識を共有し一致団結することで、使命を持った組織として地域を明るく照らすことができます。新型コロナウイルス感染症は依然として猛威を奮っていますが、対コロナウイルスワクチンの接種は着々と進み、アフターコロナ時代がすぐそこにまで見えてきています。ワクチンの接種が進んだからといってすぐに今まで通りになるとは限りませんが、レスポンシブな青年会議所活動が平時の世の中へと戻るための後押しになると考えます。私たちは、青年会議所運動で得た知見や学びを地域に波及させ、より良い地域を創造していかなければなりません。個々の魅力が光るメンバーが一致団結し地域を活性化させることで、地域を愛し地域に愛される組織として、愛の溢れる地域を創造しましょう。