理事長所信


一般社団法人栗山青年会議所

2018年度

第50代 理事長 小針 一人

 

LOMスローガン

「拓け!和を以て」

 

          

はじめに

 今から10年前、私は家業を継ぐべく前職を辞し生まれ育った栗山町へ帰ってきました。当時の私は、諸先輩方が一緒に活動しようと、熱心に青年会議所に勧誘をして下さいましたが、私は仕事が忙しいし興味がないからと理由を付けて断り続けておりました。そんなある日、青年会議所が何を目的として活動しているかを話して頂ける講演会があるからと誘われ嫌々ながら参加しました。講師が「戦後の焼け野原の中、私たちの祖父母が先の見えない日本の未来を想い、自分たちの幸せを顧みず「復興」という種を撒き、その種を父母の代で寝る間を惜しみ育て、今日本は「復興」を果たした平和で安全な国となりました。そして、次代を担う我々責任世代がどのように生きるべきなのか」との話から、自らの人生を振り返り先達の苦労に想いを寄せず身勝手に生きてきたことに気付き、このままではいけないと青年会議所への入会を決心致しました。入会後は、目上を敬い目下を慈しむことや、一人では達成できないことも仲間となら多くの夢を叶えられること、そして秩序や調和という青年経済人にとって大切なことを気づかされました。また、仕事や時間の都合の厳しい中でも地域のために活動している先輩の背中から、地域の未来を輝かせるために揺るぎない情熱を持ち、いかなる困難に直面しても決して諦めずに、行動し続けることを学ばせて頂きました。

 私たちに育まれている先達から受け継いだ大切な心、それは「和する心」です。この「和する心」によって自分だけが満たされるのではなく、他人の笑顔や楽しんでいることに私たちは喜びを感じるのです。自分に正直に生き、不平不満があれば、正直に表現してぶつかり、その中でお互いが歩み寄り理解していくことこそが「和」の真髄です。青年会議所はまさに「和する団体」なのです。私が育ったこの地域や、この地域に住み暮らす人々のために和の想いをつなぎ、我々が果たすべき役割を一人ひとりが十分に理解した上で、覚悟を持って行動しなければなりません。そして、メンバーにおいても、自分自身の成長と行動が明るい豊かな社会になることを強く信じていただきたいのです。そのためには己を律し、関わり合う方々が喜びを感じていただけるよう公へ心を配る運動を展開することにより、この地域を「和」でつながる南々空知にしていきます。

 

青少年育成

 核家族化、少子高齢化が加速し、時代の変遷によりSNSやゲーム機器の普及で費やす時間が増加する傾向にあり、子供たちを取り巻く環境は生活環境や社会情勢により変化しています。現在の社会情勢から子供を他者から守るために、親は子供に干渉しすぎる傾向にあります。このような現代社会がもたらす過度な干渉によって、家庭と並んで子供の成育に重要な近所付き合いといった地域コミュニケーションの希薄化が進むことにより、地域への愛着が薄れていき心の触れ合いや家族同士の交流も少なくなり、その影響から子供たちは不都合となる困難や他者との関わりを避ける傾向にあります。今を生きる子供たちにとって、地域の人たちとの関わりを持つことが、この地域や子供たちの未来にとって必要なことなのです。

 日本人は古来より「和」を重んじ、和の精神を育み「調和」を基とする「他を思いやる心」や「感謝する心」を醸成してまいりました。日本のみならずこの地域が今もなお、存在し続けているのは、先達が自分たちの幸せを顧みず未来のために行動していただいたからに違いありません。先達からこの地域の歴史や文化を享受し、その時代を過ごした体験や挑戦してきたことを知り受け入れることで、今を生きる私たちとの違いを知るとともに、感じたことをこの先の故郷の未来について発信することが、子供たちの成長につながります。そのための学びの機会を積極的に提供していくことこそ、次世代の成長を促す私たちJAYCEEが担う使命と責務です。

 子供たちは人と関わり、つながりを通して自分の世界を広げ、「自立」と「自律」から「調和」が育まれ、いかなる問題や課題に直面したときにも和の心をもって人と接し、お互いを尊重し合い前進していくことで、未来を切り拓いていける大人になるのだと私は確信しています。私たちJAYCEEが子供たちに人と関わり合うことの素晴らしさを伝え体現することにより、地域の将来を担う子供たちを育んでいく気概と責任を持ち接することで、この地域の輝く宝を未来へとつないでいきます。

 

地域の魅力創生

 この地域を活性化させていく一つの要素として、地域に根付いている魅力や特色といった潜在的な「宝」と、それに密接する「人」が大きく関わっています。しかし、多くの人が日常的に関わっているため、この地域の宝や特色を感じとることができていないのではないでしょうか。この地域だからこそ生み出すことができた魅力を新たな価値へと発信していくことが、また一つ地域の魅力が増えていくことにつながっていきます。地域ブランドを高めていくことに欠かせないのが地域外の方々の視点です。我々は昨年度、域外の人たち向けにこの地域の魅力を知っていただくための運動を実施し、域外の人たちがこの地域の魅力のどこに素晴らしさを感じ得るのかを知ることができました。本年度は、この運動を昇華させるために、この地域の歴史や文化、美田沃野に囲まれた美しい風景、豊かな農作物など、この地域にしかない既存の魅力と新たな人々を掛け合わせることで、新たな価値としてこの地域のブランドを創出していきます。そして、昨年栗山町が設立した「観光推進連携会議」に参画し、栗山町はもとより由仁町・長沼町・南幌町の各自治体や商店街、観光協会、商工会議所などの関係諸団体とともに、地域ブランドを高めていきます。また、我々が個で活躍する人々を結び、つながりを強固なものとすることで、南々空知の特色を活かし、町内外・日本全国そして世界各国からこの地域に訪れる方々との交流の機会が増えていき、その中でこの地域にしかない価値ある魅力をおもてなしの心で伝え、感じていただけることがリピーターの増加と、さらなる地域の価値につながると確信しています。

 地域住民の方々にこの地域に対する自信や愛着を深めていただくために、日常的なものが域外の人たちには魅力的であることを知っていただき、この地域に誇りを持った人同士の相乗効果により大きな和を創出していきます。

 

会員資質向上

 私たちは、世界的に見ても「集団主義」を貫き、集団の中で相手の意思を読み取り、波長を合わせて行動をし、決して争わずに調和を保っています。この「調和」は「平和」にも通ずる部分であり、2011年の発災となった東日本大震災では人々が団結し助け合う姿が世界各国から賞賛されたのも、日本人が持つ「和の心」だからではないでしょうか。「和の心」とは、「個人の自立性を尊重しながら、集団における秩序や調和、また礼儀を重んじること」ということになります。

 社会生活の中、様々な苦難苦境を抱え乗り越え「人のために」「まちのために」という利他の精神を抱き仲間に支えてもらいながらも活動をしているのは、沢山の経験から得られる責任世代としての自覚を持つことで、JAYCEEがこの地域を牽引していくリーダーへと成長していくためです。

 現在、栗山青年会議所は入会三年未満の会員が半数を占め、青年会議所の理念や意義を見出せず、「やらない」「できない」といった当事者意識を持てないメンバーが少なからず存在しているのが現状です。自己成長のため、ビジネスのため、社会のため、誰かのためと、理由や目的はメンバー各々異なると思いますが、青年会議所という組織の中で個人の目的を達成しようとするならば、その過程は「他が為」であり延いては組織への貢献となり、最後は自分に返ってくるのです。個人主義の延長にある悲しい出来事が新聞・ラジオ・テレビなどで報道されるこのような時代だからこそ、まずは私たちJAYCEEが日本に古くから大切にされてきた、和する心を学び日本人としての矜持を強く持つ必要があるのです。

 我々が日本人としての国家観や誇りを持ち、そしてアイデンティティを土台に、この地域社会を理解し社会の問題解決に向けて行動していくために、多くのメンバーに様々な学びの機会を与え、自己成長と仲間との共感による相乗効果によりメンバー全員がお互いに高め合える関係を構築することで、この地域を強く想うJAYCEEを育んでいきます。

 

スポーツが持つ力

 私たちは、スポーツと親しむことによって体を動かすという人間の根源的な欲求の充足を図るとともに爽快感・達成感・他者との連帯感等、精神的な充足も図り、さらには体力の向上・ストレスの発散・生活習慣病の予防など、心身両面にわたる健康の保持増進に大きな効果を得ており、この南々空知においても盛んに取り組まれております。また、スポーツには、人間の可能性の極限を追求する営みという意義もあり、競技スポーツに打ち込む選手のひたむきな姿や高い技術は、人々のスポーツへの関心を高め、夢や感動を与えるなど、活力ある健全な社会の形成にも大きく貢献するもので、2020年には東京オリンピック・パラリンピックも開催され経済効果やそれに伴うスポーツ熱により、今後益々スポーツの持つ役割は大きくなるものと期待されています。しかし、多くの自治体においては都市への一極集中により人口減少や若年層の流出によってスポーツを行える環境が年々縮小する傾向にあり、私たちが住むこの南々空知も例外ではありません。

 この地域には少年団や部活動、社会人クラブなどのスポーツ団体が数多く存在し活動をしている一方で、公共機関である教育委員会や各関係諸団体もスポーツに関する事業を数多く実施し、スポーツがこの地域に誇れる資源であると確信いたしました。しかしながら、スポーツ人口の減少や優秀な指導者不足など、問題・課題も明確になりました。人は人に認められることで喜びを感じ、喜びは生きる上での大きなエネルギーとなります。子供たちを軸に据え、スポーツで頑張る姿を地域の人々が様々な形で応援し、関わり合う人々が子供たちの成長に寄与することで、喜びを感じ地域全体で共有することができたとしたら、それこそがスポーツによる地域を活性化することになるのではないでしょうか。

 我々が栗山町・由仁町・長沼町・南幌町へこの運動を発信することにより、地域の様々な人々とふれあい、親子や家族、世代間の交流が深まり、地域住民がひとつの目標に向かい、ともに努力し達成感を味わうことで、地域の一体感や活力の醸成をしていきます。

 

夕張川への想い

 2007年から夕張川の水質調査・研究から始まり今日に至る間、サケが遡上できる環境を整えるべく、関係諸団体の皆様とともに運動事業を毎年継続して行ってきた、夕張川関連事業も本年で11年目を迎え今では、行政、関係諸団体、地域住民の皆様の理解と共感を得ながら、力強く大きな運動となりました。

 2015年にはサケ・マスの自然産卵に向け先輩諸氏から受け継いできた想いが実り、魚道「サーモンロード」の設置がなされ、遡上も着実に増えていることが確認されております。いつの日かサケ・マスが故郷の川を遡上している姿を眼下に、人々が川辺に集えるオープンスペースを活用し、バーベキューやキャンプ、ジョギングやサイクリングなど川を身近に感じることのできる河川環境整備の実現が私の描く母なる川への夢です。しかし、「夢の自然サイクル」というサケ・マスの自然産卵の実現には落差工改修や不法投棄といった問題が山積しております。この問題を流域住民の皆様とともに運動を展開し、その輪の広がりが解決に向け大きな力となることを発信してまいります。また、昨年より実施しております寄付型自動販売機をより多くの企業や設置店に呼びかけ、故郷の川に心を寄せる運動を展開していきます。我々の情熱と行動により、故郷の恵み豊かな川の尊さと、我々の運動事業の意義をしっかりと伝播し、夕張川に心を寄せ、故郷を誇り愛する気持ちを育み、一人でも多くの地域住民とともにまちづくりへの想いを一つにします。そして、行政、関係機関はもとより地域住民の皆様との協働・連携を強固なものとし、「夢の自然サイクル」の実現に向けて邁進して参ります。

 

広域をつなぐ情報発信

 私たちの生活は、多様で大量の情報がある中で有利的なものもあれば、そうでないものもあります。この情報は日々生み出され、人々の意思決定や行動に大きな影響を与えます。昨今ではインターネットの普及により誰もが気軽に様々な手段で情報を入手し発信できるようになりました。この情報を有効活用することができれば、地域経済の活性化や社会基盤の老朽化等の地域が抱える課題を解決することが出来るのではないでしょうか。

 我々が住み暮らす南々空知圏域は、夕張市・栗山町・由仁町・長沼町・南幌町の一市四町で形成され、地域特性の違いはあるものの、気候風土や立地条件など共通する部分も多くあります。現在、各地域では町単位で情報を集約・発信しているために、情報が分散し受け手側の収集が煩雑となり、結果として地域情報が適切かつ広範に行き届かないことになります。

 そこで、地域情報を主軸として地域全体がつながり、地域が主体となって持続的に発展していくために、この南々空知の混在する情報を共有するための「地域情報プラットフォーム」を確立することが必要です。北海道でも有数の農業を主とした田園地域で、それぞれの「マチ」の特性や資源が現存している南々空知は、魅力溢れる圏域の広域的なガバナンスの形成、連携体制を強化し、資源価値を集約し一元化することによりこの地域をつないでいきます。

 

会員拡大

 我々、青年会議所会員は20歳から40歳までの限られた時間の中で活動しており、この会員拡大こそが単年度制である青年会議所で唯一創立当初から継続している運動です。我々の運動事業は小さな事から始まり、多くの人々を巻き込み、大きなうねりとするために会員拡大は非常に重要です。まずは、自分自身が会員拡大を率先して行動し、新たな同士を増やすために、青年会議所で培った経験や全国につながるネットワークの素晴らしさ、そして運動の意義や夢を、目を輝かせ自分の言葉で語ることで、対象者に自分自身や地域が運動の力によって変化した結果、50年という長い歴史の中で確実に地域を豊かにしてきたというJCプライドを情熱的に伝えます。そして、本年は日本青年会議所とのご縁があり栗山青年会議所メンバーを出向させていただいていることから、日本青年会議所の運動事業に参画することはもとより、日本青年会議所が実施するプログラムを有効に活用し、会員拡大を成功しているLOMの事例やLOMに有用な情報を一早くキャッチすることで、会員拡大に取り入れ実施していきます。

 この地域を変革していくために共に汗を流し、互いに切磋琢磨し、苦楽を分かち合える仲間であるからこそ「真の友情」が育まれ「生涯の友」となるのです。青年会議所の運動事業が尊いものであることに誇りを持ち、会員数30名を必達します。

 

和する団体として

 この地域には数多くの宝があり、その宝を発信するために季節ごとに数多くの行事が開催されています。「くりやま夏まつり」は栗山町の郷土芸能である傘踊りや郷土踊り、和太鼓など地域に愛された伝統文化を継承しております。昨年度は、栗山商工会議所青年部と栗山青年会議所を中心に企画運営を行い、地域の方々が故郷を楽しみこの地域に愛着が持てるよう実施してまいりました。この「くりやま夏まつり」は故郷への帰属意識を高めるために今後も重要な伝統行事です。多くの地域住民が主体的にこの行事に参加することで、それぞれがこの地域に帰属する大切な一人であることを強く感じていただきます。そして、この「くりやま夏まつり」が夏の風物詩として、この日限りは仲間とともに汗を流し、事を成し遂げることで、爽快感と達成感に包まれます。この貴重な体験が記憶に残ることで、故郷への想いを寄せ、帰属意識が育まれ郷土愛の醸成につながります。また、2016年度から開催された「ふるさと田舎まつり」は、昨年来場者約1万人にのぼり一市四町の観光資源を発信することを通して、この地域の人々や関係者とのつながりを創出することができ、一市四町の魅力を一堂に会して広域連携で発信できる貴重な機会です。この機会を訪れた人たちにとって一市四町の魅力を体感して得られた期待感が、栗山町はもとより夕張市・由仁町・長沼町・南幌町への訪問を促すきっかけとなります。そして、この地域でしか得られない魅力ある価値を効果的に発信していくことにより、一市四町の絆を深めることにつながります。

 栗山青年会議所は2018年度「和」をテーマに掲げ、他団体と協働・連携し、この活動をより効果的なものにするために、世代を超えて受け継がれている行事の振興を地域内の活性だけに留まらず広く発信していくことで、交流人口の増加や経済効果につながります。我々が、この魅力溢れる行事に参画し、地域の皆様と未来について夢を語り、共に夢を描きながら地域活性化へ向け邁進していきます。

 

結びに

 昨今、多くの日本人は和の精神の希薄化から「分かち合いより奪い合い」「調和より自己主張」といった自己中心的な言動をとり、他者への無関心へとつながっています。今、我々にとって必要なことは過去と現在、そして未来を結ぶ目的を共有することです。ひとつの大きな指針として「この地域を愛する」という自然な感情と、日本人が持つべき誇りと気概を持たなくてはなりません。和の精神と志を持った青年が地域の原動力となり変革を担うことは、いつの時代も変わらないはずです。青年会議所という組織はメンバー全員が目標を共有し主体的に活動に取り組む中で目的を実現できる組織です。誇りある日本人として、未来に生きる全ての人たちのために、和を以って愛と希望溢れる南々空知を創造します。