理事長所信


『進取果敢!~覚悟持って未来を切り拓こう~』

 

 第56代 理事長 天野 剛生

 

【はじめに】

 子どもの頃から青年会議所歴代理事長でもある父の背中を見て育った私は、父のJC活動が遊びに連れていってくれる場で、当時のJCメンバーの皆様が楽しそうに活動している姿を目の当たりにし、私も必ずいつかは入会すると子どもながら強く思いました。適齢期になり青年会議所と近い環境も加味され入会に至りました。メンバーとして活動するJCは私が認識していたものとは別物で、次の日朝早くから社業が控えていようが納得するまで真剣に議論し、様々な意見を出し合い事業に臨む姿を目の当たりにし、私が抱いている楽しいことだけを行っているイメージとは異なりました。情熱を傾け事業に取り組むことで得られる達成感や感動は格別なもので、私自身、益々青年会議所活動に前のめりになりました。さらに、多くの事業に携わる中で、父が当時のメンバーと挑戦したまちづくりの凄さが大人になり気付かされるとともに「挑戦」において大きく結果を分ける「覚悟」が人々に勇気と感動を与えてくれると感じることが出来ました。「失敗してもいい挑戦しないことが悪いんだ!少しの突破が今見えている景色を変える」名将イビチャン・オシム氏が言っていた言葉です。この地域において青年会議所は覚悟ある挑戦を繰り返し地域課題に向き合い続け果敢に挑戦し、地域の発展に繋がる運動を弛まなく続けてこられました。挑戦なくして成長なしの信念のもと、メンバーと共に成長し、明るい豊かな社会を実現するためのビジョンを考え、メンバー一人ひとりが挑戦と実行する覚悟を決することで、多くの人を惹きつけ魅力が輝く地域が創造されるのです。

 

 

【会員拡大】

 青年会議所の存在を認識していない人は、この地域にはほぼいないと考えます。設立されてから55周年の歴史があり、この地域の課題を見つめ解決するべく運動事業に邁進されてきました。ですが、「栗山青年会議所があるのは知っているが何をしているのかわからない。」今はそういう声があるのも紛れもない事実です。今、地域にとって我々の運動・事業がまちづくりの礎を築くことが青年会議所の存在価値を示す最良の手段と私は考えます。JCは常に目的意識を明確にし、その事柄に対し議論を重ね明るい豊かな社会の実現という大きな目標に向け活動しています。会員一人ひとり活動している目的や思惑はそれぞれで多様な価値観や環境が違うからこそ新たな気付きがあり、その発見が運動・事業に活かされた時に地域の発展に繋がると考えます。我々の想いが届き、まちづくりに反映されることで、会員自身の喜びや成長に繋がり明るい豊かな社会へ前進すると確信しています。私自身、利他の精神を重んじ自己成長を促す青年会議所に入会していなければ、多くの出会いや学びの機会にも恵まれず他者のために行動を起こす魅力を感じずに自分本位でしか行動出来ない大人になっていたと思います。運動・事業を通じて主体者意識溢れる人財へと成長を遂げてこの地域を共に高め合う仲間を一人でも増やすことが明るい豊かな社会への実現には必要不可欠です。私は人を創ることがまちづくりに繋がると信じています。メンバー一丸となり新たな人財を求め全力で活動し、会員拡大10名を必達いたします。

 

 

【スポーツの可能性】

 この地域にはスポーツによるまちづくりの歴史と実績があります。ふじスポーツ広場造成や日韓共催サッカーW杯合宿誘致、栗山英樹氏がこの地域に居住を決めたのも先達がスポーツの可能性を信じ、未来を見据え行動を起こし、スポーツの力でまちづくりを行ってきた賜物です。その中でも特に印象深いのは、ふじスポーツ広場にてJリーグで活躍するトッププロ同士の戦いが行われ、多くの観衆が集まる中、生まれて初めて「ホンモノ」を体感出来たことです。この地域に住まう人々が「ホンモノ」を体感することで、皆の心に刻まれるとともに、この地域を誇りに思うことが出来る絶好の機会であると考えます。さらに、スポーツは「見る・支える」という観点からもスポーツに携われる事も魅力であります。栗山高校女子硬式野球部が発足されて3年目、世界を知るプレーヤーとして活躍した金監督のもと、発足して間もない期間にも関わらず昨年の全国大会にて見事1勝を勝ち取る事が出来ました。日々グランドで必死に白球を追いかけている姿に心を打たれ、多くの方々が支援しています。その支えに部員たちも応え、地域の事業などに積極的に参加し、地域に貢献している姿は女子硬式野球という認識を高め、その活躍は町民のみならず多方面に影響を及ぼしていると推察致します。スポーツの素地や既存施設が多くあるこの地域にスポーツを活用した賑わいを創出し、この地域住民にスポーツによるまちおこしの期待感を醸成いたします。

 

 

【青少年育成】

 子ども達にとって「見る・触れる・体感する」ことは子ども達の健やかな成長に欠かせない要素です。文部科学省が行った「子どもの体験学習アンケート調査」によると、自然体験が多い子どもほど道徳観、正義感が身についている結果となりました。しかしながら、現代はインターネットやICTツールに囲まれて多くの人と手軽にコミュ二ケーションを図れる時代になり、その便利さに依存するあまり情報ばかりを鵜呑みにした心ない言動により、凄惨な事件や事故に繋がっているとともに、子どもたちの日常が乱れ不安に陥りストレスが受けやすい状況です。さらに、いじめ・不登校などに繋がり、子どもたちの心身の健康に大きな影響を与えております。そんな現代を生きる子どもたちに不足しがちな「体感」から子どもの心を育む必要があります。北海道には豊富な自然環境が点在しており、自然教育を活用したカリキュラムも充実しております。様々な自然体験には「学び」があり、他者と知恵を出し合い挑戦する体験は子どもたちの自立心や協調性・チャレンジ精神など他者と協働する能力を育むことが出来、多くの人と関わり合いながら体験を積み重ねることにより次代を生き抜く力の礎を築ける効果が期待されます。子どもたちの成長に欠かせない、「体験」を積み重ねることにより他者を思いやり行動出来る豊かな人間性を育み、子どもたちのアイデンティティー確立を促すともに、豊かな自然環境に人という価値を付加し、学びの機会を提供することで、子どもたちの成長と耀く未来へ繋げます。

 

 

【ふるさと田舎まつり】

 2023年に3年ぶりの開催となるふるさと田舎まつりを開催し、地域内外から多くの来場者が訪れ、コロナ過を乗り越え再び一市四町の魅力を知ってもらう絶好の機会となりました。しかし、2日間で多くの来場者が訪れるイベントですがこの地域の素晴らしさを味わって頂くにはイベント当日のみならず、この地域にまた訪れたくなるような2日間にすることが重要であると考えます。まずは、ふるさと田舎まつり実行委員会が更に広い見地で地域を見つめるために、各地域で活躍している組織や行政を新たに巻き込み基盤構築を行い、広域連携を推奨している団体として一市四町の魅力を効果的に発信出来る最良の方法を模索し、新たなストーリーを共に創っていく必要があります。SNSなどを活用したプロモーションなどを付加し、「地域のおいしいものを讃えよう」のもと、美田沃野広がるこの地域が誇る食材のストーリーと地域に根付く食文化を地域内外に波及し、携わる人々が描くローカルの魅力溢れる輝く地域を目指します。

 

 

【夕張川】

 2008年から始まった夕張川関連事業は、行政や地域住民の方々の協力を得ながら、2015年栗沢頭首工に魚道「サーモンロード」が設立され、2020年に栗山町中央橋上流に産卵床が整備されたことにより、2023年には雨煙別川にて16尾のサケの遡上が確認されるに至りました。夕張川に還るサケをシンボルとして、この地域への郷土愛を醸成するために継続されてきた本事業は、サケの遡上・産卵によって一つの節目を迎えたと言えます。しかし、これらの活動が、地域のシンボルとなっているかと言えば、さらなる運動波及の余地があると思います。夕張川に直接的な関わりのある河川関係事業者のみならず、この地域に住まう大人から子どもの誰もが夕張川に親しみを感じてもらうためにも、夕張川の歴史を振り返り、当時の苦難を乗り越えた先人達の知恵などを流域住民に改めて振り返る機会を創出し、夕張川をより身近な存在として感じてもらう必要があります。夕張川への愛着を根付かせることで、南々そらち全域にサケの還る地域としての魅力を波及させます。

 

 

【創立55周年】

 昭和44年7月17日に栗山青年会議所は413番目の承認を受け、先輩諸氏は直向きに地域課題に向き合い地域の付託に応え続けて、弛まない運動のおかげで創立55周年目を迎えることとなりました。50周年に掲げたテーマであります「RE HEAT ~未来を動かす熱狂~」を経て60周年へと向かう節目の年でもあります。今後も栗山青年会議所は地域課題に目を背けずに付託に応える組織として、次代を見据えた活動を続けていかなければなりません。地域から必要とされる団体として様々な課題に向き合い挑戦する1年にするとともに、その活動を通して青年会議所が地域住民やまちづくりにとって必要なピースとして存在感を高めるとともに、これまで栗山青年会議所の運動・事業に御協力頂いた各関係諸団体の皆様や温かく見守って頂いた先輩諸氏に感謝を抱き、歩んできた道のりを皆様と振り返ります。また、現在抱えている地域課題の解決に向けた運動・事業を応援して頂いている皆様に明示して意識共有を深め、次代に向けたビジョンを発信し、栗山青年会議所が強く抱く志を繋げ、更なる推進力を持って地域課題に果敢に挑戦いたします。

 

 

【結びに】

 人は誰しも失敗を恐れます。しかし、その失敗を恐れ何もやらない事は楽ですが成長や自身の糧に繋がらないと考えます。また、失敗から多くの気づきを得られ次の挑戦へ繋げたプロセスが成功への本筋であるとともに、走り続けたことで得られる成功体験は何事にも変えられない自信に繋がります。1人の行動や突破から新しい景色が拓け、個性を活かし社会の課題を解決するために行動を起こし、変化を恐れず常に果敢に攻める大きな夢を皆で共有し、断固たる覚悟をして歩みを進める挑戦が、輝く地域を創造できると私は確信しています。